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兄の遺品を整理していたら、兄よりも早くに亡くなった母を受取人とした生命保険の保険証券が見つかりました。
兄は結婚しておらず、子どももいないため、母を受取人にしたのだと思います。父とは別居中で、母はシングルマザーとして私たち3人を養っていましたから。
母が亡くなったときに受取人を私と妹に変えておいてくれればよかったんですけどね。
この場合、誰が保険金を受け取るのでしょうか。
被保険者である兄の相続人と、受取人である母の相続人、いずれが保険金を受け取るのか、迷う方も多いでしょう。
このコラムでは、受取人が先に死亡した保険金の行方や分配方法について解説します。
保険金は受取人の相続人が受け取る!
保険金を請求できる状態になったとき(被保険者の死亡時)にすでに受取人が亡くなっていた場合、法律上、受取人の相続人が保険金を受け取ることになります。
そのため、今回のケースでは、父親、相談者、妹の3人が母の相続人として保険金を受け取れます。
もっとも、被保険者の相続人が保険金を受け取るわけではない点にご注意ください。
なぜなら、保険金は被保険者の財産ではなく、受取人の財産と考えられるためです。
そのため、今回のケースでは、受取人である母親の相続人である、父親、相談者、妹が保険金を受け取ることになります。
したがって、兄の相続人である父親が保険金を独り占めすることはできませんし、仮に兄が結婚していたとしても、兄の相続人である配偶者が保険金を受け取ることはできません。
受け取る金額は法定相続分ではなく頭割りになる
今回の家族構成を例として、一般的な相続財産や保険金をいくら受け取れるのか見てみましょう。
一般的な相続であれば、被相続人(亡くなった人)の配偶者が2分の1、残り2分の1を子どもたちが均等に相続することとされています。
たとえば、母親の相続財産が900万円であれば、法定相続分は次のとおりです。
・父親 :450万円
・相談者:225万円
・妹 :225万円
これに対して、保険金は法律上、相続人の立場に関係なく、相続人の頭割りで受け取ることになります。
たとえば、保険金が900万円であれば、3人の相続人が均等に300万円ずつ受け取るということです。
これは、最高裁判所が、保険金受取人の権利の割合は、民法第427条が適用されると判断したためです。
参照:最高裁判所判決平成5年9月7日| 裁判所 – Courts in Japan
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
引用:民法第427条
受取人が亡くなったら受取人の変更手続を!
受取人が保険金を請求するだけであれば、保険金を受け取れるまで時間はそうかからないでしょう。
ところが、受取人の相続人が保険金を請求する場合、戸籍謄本を収集し、法定相続人全員の印鑑証明書が必要になるなど手続が煩雑になり、保険金を受け取るまで時間がかかる可能性があります。
必要な書類は保険会社によって異なりますので、詳しくは各保険会社にお問合せください。
生命保険には遺族の生活を保障する側面もありますので、スムーズに受け取れた方がよいでしょう。また、場合によっては思いもよらない人に保険金が渡ってしまうかもしれません。 そのため、保険金の受取人が亡くなった場合には、忘れずに受取人の変更手続をしておくことをおすすめします。
【まとめ】受取人が先に死亡した場合の保険金は、「受取人」の相続人が受け取る!
受取人が被保険者よりも先に死亡していた場合、保険金は受取人の相続人が受け取ることになります。
ただし、受け取れる金額は、法定相続分にかかわらず、相続人の頭割りになる点にご注意ください。
保険金の受取人が亡くなった場合には、忘れずに受取人の変更手続をしましょう。
困りごとが起きた時,ひとりで考え込むだけでは,どうしても気持ちが暗い方向に向かいがちで,よい解決策も思い浮かばないものです。そのようなときは,ひとりで抱え込まないで,まず専門家に相談することが,解決への近道ではないでしょうか。どのようなことでも結構ですので,思い悩まずにご相談ください。依頼者の方々が相談後に肩の荷を降ろして,すっきりとした気持ちで事務所を後にできるよう,誠心誠意力を尽くします。